この記事で解決できること
- 経理でAIがどう使われているのか、活用例が知りたい。
- AIを使うことで何が楽になるのか知りたい。
- AIが導入されても、これからの経理に必要なスキル
こんな悩みを解決します。
日商簿記3級、経理・契約5年、給与・社保5年のよんちゃわんが説明いたします。
最近、仕事でAIを使う会社も増えつつあります。
とはいえ自分の仕事にどう影響するのか、正直よくわからないという方も多いはずです。
この記事では、経理初心者に向けて、AIが使われる経理を分かりやすく解説します。
「AIって難しそう」と感じている方も、読み終わったころには「なんとなくイメージできた!」と思っていただけるはずです。
記事の前半では「経理でAIを使う目的や現状について」、また後半では「これからの経理で必要なスキル」について解説します。
ぜひ最後まで読んでみてください。
経理でAIってなに?

「AIって最近よく聞くけど、経理でどう使うんだろう?」と思っている経理初心者も多いはず。
なぜ今これほどAIが経理に広がっているのか、AI導入の目的とAI活用の現状を解説します。
AI導入の目的
経理にAIが取り入れられている大きな理由は次の2つ。
- 業務を楽にしたい
- 人手不足をなんとかしたい
多くの会社では、今でも請求書の確認や仕訳の入力を手作業でこなしています。
月末になると残業が続くという繰り返しを続けている経理担当者も少なくないでしょう。
また会社側のもう一つの悩みは、経理の専門知識を持つ人材がなかなか集まらないことです。
経理は未経験でも挑戦できるというイメージがある一方で、即戦力になれるスキルを持った人材は足りていない。
その解決策として、AIで定型作業を自動化して、少ない人数でも経理業務をしっかり回せる仕組みをつくろうという流れが広まっているわけです。
AI活用の現状
では実際にどのくらいの会社が経理でAIを使っているのでしょうか。
総務省の最新白書によると、日本の会社の55.2%が何らかの業務でAIを活用しています。
メール・議事録・資料作成などの事務業務での利用が最も多く、経理業務は正にこれに該当します。
ただし、AI活用の進み具合は企業の規模によってかなり差があります。
| 企業規模 | AI活用の状況 |
| 大企業 | すでに活用中、または導入予定が多い |
| 中小企業 | 活用方針がまだ決まっていないところも多い |
参考:総務省の令和7年版情報通信白書の「企業におけるAI利用の現状」
AIの得意なことと苦手なこと

実はAIにも「得意なこと」と「苦手なこと」があります。
この違いを知っておくことは、AIとうまく付き合っていくコツと言ってもいいでしょう。
それぞれ解説します。
AIの得意なこと
AIが最も力を発揮するのは、ルールが決まっている作業や、大量のデータを扱う仕事です。
わかりやすく言うと、「毎回同じ手順でできる作業」はAIの得意分野。
たとえば、スーパーのレジが商品のバーコードを読み取って金額を計算するように、AIも決まったルールに沿った処理をミスなく高速でこなしてくれます。
経理の仕事に置き換えると、こんな場面でAIが活躍します。
- 毎月繰り返す仕訳の自動入力
- 大量の請求書・領収書の読み取りとデータ化
- 売上や経費データの集計・整理
- 報告書のたたき台作成や文章の要約
- よくある質問への自動回答
「同じ作業の繰り返しで時間が過ぎていく…」という経理担当者の悩みを、AIが一気に解決してくれる可能性があります。
AIの苦手なこと
反対にAIが苦手なのは、自分の頭で考えて判断する仕事です。
たとえば、カーナビは道案内が得意ですが、「今日は気分転換に違う道を通りたい」という気持ちは理解できませんよね。
AIも同じで、学習したデータの範囲を超えた判断や、人の気持ちを読んだ対応は苦手です。
経理業務でAIが対応しきれない場面はこちら。
- 今まで想定していなかったイレギュラーな取引への対応
- 数字の背景を読み解いて経営判断につなげること
- 取引先や他部署との交渉・調整
- 後輩への指導やフォロー
- 最終的な内容の確認・承認
AIはあくまで補助的な役割です。
「判断する・伝える・責任を持つ」場面では、人間にしかできないことがたくさんあります。
これからの経理担当者に求められるのは、AIに任せる部分と自分が対応する部分を分けることです。
AI導入のメリット3つ

ではAIを導入すると、実際に何がどう変わるのでしょうか。
ここでは、経理業務にAIを取り入れることで生まれる3つのメリットを、具体的に見ていきます。
時短で残業減
AIを導入する一番わかりやすいメリットは、「通常3日程度かかっていた仕事が、1日で終わった!」など。
たとえば、毎月末に大量に届く請求書の内容をひとつひとつ確認して入力する作業。
これをAIに任せると、人間が何時間もかけていた作業が短時間で完了します。
「月末は毎回残業続きで体力的につらい…」と感じている経理課員にとって、これは大きな変化です。
ノー残業はもちろん、空いた時間で数字の分析や報告書準備。AIができない種類の仕事に集中できます。
ミス削減
経理の仕事で特に怖いのが、入力ミスや仕訳のミスです。
月末の疲れた状態での手作業は、どうしても「あ、打ち間違えた…」が起きやすいもの。
ミスが発覚すると、修正や確認に追われて残業につながります。
AIはこの悩みをぐっと減らしてくれます。
過去の取引データをもとに内容を自動で判断するため、手入力よりもはるかに正確です。
とはいえ、最終確認は人間の目で行うことが大切です。
AIが一度チェックしてくれた状態で確認するのと、ゼロから手作業でチェックするのとでは、安心感がまったく違います。
ダブルチェックのイメージ。
なので「また間違えてしまった」という自己嫌悪も減!
作業の品質キープ
経理のよくある悩みといえば、「〇〇さんがいないと、この作業がわからない」という状況ではないでしょうか。
特定の人だけが知っているやり方に業務を依存してしまうと、その人が休んだ途端に仕事が止まってしまいます。
ところがAIを活用すると、過去のデータやルールをAIが記憶しているので、誰が担当しても同じ品質で仕事を進めやすくなります。
私が仕分けで迷っても?
AIがヒントをくれるので、作業を進めていけますよ。
特定の人に負担がかかることなく、皆で進めていける環境になります。
経理でのAI活用例5つ
AIは経理のどんな場面で使われているのでしょうか。
ここでは、実際の業務でイメージしやすい活用例を5つご紹介します。
仕訳業務
仕訳とは、会社のお金の動きを「何に使ったか」「どこから入ってきたか」などに分類して記録する作業です。
経理の基本中の基本ですが、分類のルールが細かく、慣れるまでは「これってどの科目?」と迷うことも多い業務です。
AIを使うと、過去の取引データをもとに「この取引はこの分類が合いそうですよ」と自動で候補を提案してくれるので、担当者は提案内容を確認してOKを出すだけです。
作業がぐっとスムーズになります。
繰り返し作業の負担がまるごと減ります。
帳簿作成
帳簿作成は、日々の取引を積み重ねて記録していく必要があり、データの量が増えるほど手間も時間もかかります。
ここでAIを活用すると、取引データの集計や帳簿への転記を自動で行ってくれます。
手作業のときと比べて、作業時間がぐっと短くなるのが大きなポイント。
ついでに、数字のつじつまが合っているかどうかもAIが自動でチェックしてくれます。
後から数字が合わないことに気づいて焦るリスクも減り、月末の帳簿作業が、ずっと落ち着いて進めやすくなります。
請求書等データ化
取引先から届く請求書や領収書をシステムに手入力する作業は、地味につらい仕事のひとつです。
ここでAIを使うと、紙の書類をスキャンしたりスマホで撮影したりするだけで、取引先名・日付・金額などを自動で読み取ってデータ化してくれます。
入力ミスも減るので、後から修正に追われる手間もなくなります。
データ分析補助
経理の仕事は、数字を記録するだけではありません。
先月と今月の売り上げの変化や、どの費用が増えているかなど、数字の動きを分析する作業も大切な役割のひとつです。
ただ初心者にとっては少し難しい場面です。
なぜならどの数字に注目すればいいかわからなかったり、グラフや表の作成に時間がかかったりするからです。
しかしAIを使うと、データを読み込ませるだけで気になる数字や傾向を自動で拾ってくれるので、注目するポイントが分かるようになります。
報告書作成
月次の報告書や、上司や経営者へ提出する資料の作成も、経理担当者の大切な仕事です。
とはいえ、数字をまとめるだけでなく、わかりやすく説明する文章を書くのは誰でも簡単にできるというわけではありません。
ここでAIを活用すると、データをもとに報告書の下書きを自動で作成してくれます。
担当者は内容を確認して、必要な部分を手直しするだけでOKです。
報告書作成も随分と楽になります。
AI活用の注意点3つ
ここまでAIはとても便利なツールとしてお伝えしてきました。
しかし使い方を間違えると思わぬトラブルにつながることもあります。
ここでは、経理業務でAIを使うときに知っておきたい3つの注意点をお伝えします。
AI活用の注意点3つ
ルール・法改正対応は人の手で
経理の仕事は、税法や会計のルールに従って正確に行う必要があります。
そして、これらのルールは毎年のように改正が行われます。
AIはあくまで学習済みのデータをもとに動いているので、法改正があってもAI自身が自動的に対応してくれるわけではありません。
たとえるなら、去年の地図で今年の道を案内しようとするようなイメージです。
情報が古いまま使い続けると、気づかないうちにルール違反につながる可能性があります。
法改正への対応は、必ず人間が確認・判断することが大切です。
AIツールが最新のルールに対応しているかどうかも、定期的にチェックする習慣をつけておきましょう。
最終チェックは人の手で
AIの処理精度はどんどん上がっていますが、AIが出した結果が必ずしも正しいとは限りません。
AIには「もっともらしいけれど間違った情報を出力してしまう」という弱点があり、これを「ハルシネーション」と言います。
特に経理の仕事は、1円のズレも許されない場面があります。
AIに任せっきりにして後から大きなミスが発覚した、というケースは避けたいです。
AIはあくまで補助ツールと考えるのがおすすめ。
- AIが処理した内容を、必ず人間の目で確認する
- 金額や勘定科目など、重要な項目は特に念入りにチェックする
- 最終的な承認・判断は、人間が責任を持って行う
AIを信頼しすぎず、でも怖がりすぎず、うまく使いこなすバランスが大切です。
個人情報など重要情報取り扱い
経理の仕事では、給与情報や取引先の口座情報など、外部に漏れてはいけない大切な情報を日常的に扱います。
ここで注意したいのが、AIへの情報入力の仕方です。
AI利用の前提条件として、社内専用の利用環境を作ることが必須です。
なぜならChatGPTなどの一般向けAIサービスに、そのまま個人情報や会社の機密データを入力するのは危険だからです。
入力した情報がAIの学習データに使われてしまう可能性があり、情報漏えいのリスクにつながりかねません。
具体的には、次のような点に注意です。
- 個人名・口座番号・給与額などはAIに直接入力しない
- 会社が定めたAI利用のルール(社内ガイドライン)に従って使う
- 不安なときは、上司や担当部署に確認してから使う
ルールを守りながら安全に活用することが重要です。
AI経理で必要なスキル3つ

ではAIが導入されたら、経理課員に必要なスキルは変わるのでしょうか。
基本は今と大きく変わらないので、ここで確認します。
基本スキル
まず押さえておきたいのが、経理の仕事のベースとなる基本スキルです。
AIが導入されても、このベースがあるかどうかで仕事のしやすさが大きく変わります。
具体的には、次の3つが基本です。
- 簿記の知識:お金の動きを正しく記録・分類するための基礎。日商簿記3級程度。
- 会計ソフトの操作:会計システムやソフトに慣れておく
- Excelの操作:データの集計・確認など会計ソフトができない部分をカバーする。
AIが自動でデータを処理してくれても、その結果が正しいかどうか判断できるのは人間だけです。
基礎知識がないと、AIの出力をチェックすることすらできません。
「まず簿記から勉強しよう」と思っている人は、正解!
基本スキルについては、こちらの記事「経理初心者に必要なスキルレベル3つ|継続可能な勉強方法も紹介」も読んでみてください。
AIを使うスキル
基本スキルの次に必要になるのが、AIをうまく使いこなす力です。
プログラミングとか難しそうな技術は必要ありません。
一番大切なのは、AIへの伝え方です。
たとえば、ChatGPTなどの生成AIに「この数字をまとめて」と伝えるだけでは、思い通りの結果が返ってこないことがあります。
「何を・どのように・どんな形式で」と具体的に伝えると、ぐっと使いやすくなります。
また、AIが出した結果をそのまま使うのではなく、内容をきちんと確認して判断する手順は大切です。
AIはあくまで道具です。
それを上手く使いこなせるようになる必要があります。
AIに上手く指示を出せるようになるには積み重ねが必要。AIの回答を確認する姿勢も大切。
コミュニケーション力
経理は黙々とパソコンに向かう仕事というイメージがある一方で、実際は、思っている以上に人と関わる場面が多い仕事です。
たとえばこんな場面があります。
- 営業部門から「この領収書、どう処理すればいい?」と相談される
- 上司から「今月の数字、わかりやすく説明して」と求められる
- 取引先から請求書の内容について問い合わせがくる
AIが定型作業を代わりにやってくれるようになると、むしろ人と関わる時間がさらに増えると言われています。
数字を相手にわかりやすく伝えたり、他部署と連携したりなど、AIには絶対にできないことです。
コミュニケーションが得意じゃないという人も、日々の小さなやりとりを積み重ねていきましょう。
それはこれからの経理担当者としての強みになっていくので。
まとめ:AIで経理業務を快適にすすめよう
この記事では、経理業務におけるAI活用について解説してきました。
AIは繰り返しの入力作業やデータ集計など、時間のかかる定型業務を代替してくれる便利なツールです。
うまく活用すれば、残業の削減やミスの減少、業務の品質アップが期待できます。
一方で、その使い方には注意が必要です。
- 法改正への対応や最終判断は、必ず人間が行う
- AIの出力結果は、自分の目でしっかり確認する
- 個人情報や機密データの取り扱いには細心の注意を払う
AIが導入されても、簿記などの基本スキルやコミュニケーション力は変わらず大切です。
AIをうまく使いこなしながら、経理担当者として自分にしかできない仕事に集中できる環境を築いていきましょう。
以上ここまで読んでいただきありがとうございました。