この記事で解決できること
- 会社の経理の帳簿ってどんなの?
- 帳簿のつけ方が知りたい。
- 帳簿管理に必要な最低限のスキルってあるの?
こんな悩みを解決します。
日商簿記3級、経理・契約5年、給与・社保5年のよんちゃわんが説明いたします。
本記事では、経理初心者の方に向けて、帳簿の考え方から実務で役立つポイントまでを丁寧に解説します。
実際この取り組み方で、経理初心者だった私も「なんとなく不安」から「分かる・できる」に気持ちが変わりましたよ。
経理初心者にとって、帳簿は専門用語も多く、最初のハードルが高く感じがちです。
しかし実際は、会社のお金の流れを分かりやすく整理するための記録であり、基本を押さえれば少しずつ理解できます。
記事前半では会社の帳簿管理について、後半では帳簿管理に役立つスキルについて解説しているので、是非最後まで読んでみてください。
会社の経理の帳簿とは

経理初心者には帳簿というと、家計簿の方が思いつきやすいでしょう。
しかし会社の経理で扱う帳簿とは、日々の取引を正しく整理し、会社の状態を数字で説明するための記録です。
帳簿というと一見「難しそう」という印象を持つかもしれませんが、本質はシンプルで、会社のお金やモノの動きを整理するための“土台”だと理解するとイメージがつかみやすくなります。
家計簿との違い
家計簿と会社の帳簿は似ているようで、実は役割も記入方法も大きく違います。
まず家計簿は、「現金の残りを確認するもの」と言えます。
収入と支出をシンプルに記録し、最終的に現金がいくら残ったかを把握するのが目的です。
家計簿は現金の出入りのみに着目した単式簿記で記入します。
一方で会社の帳簿は、「会社の状態を数字で説明するもの」です。
そのため現金だけでなく、現金以外のモノの出入りも記録し、さらに「なぜお金が増えたのか」「なぜ減ったのか」を説明する必要もあるわけです。
※現金以外のモノ・・・普通預金・借金、車の資産価値など
そんな会社の帳簿は、お金のやり取りが現金以外の場合も表現できる複式簿記を使います。
簿記ってやっぱり要るの?
簿記については記事後半で触れていきます。
帳簿はなぜ必要?
会社が帳簿を作成する理由は、経営状況を正しく把握し、法律に基づいて税務申告を行うためです。
帳簿が必要な理由は次の3つ。
帳簿の種類

会社の経理では、日々の取引を正確に記録するために、いくつもの帳簿を使い分けます。
主要簿は会社の中心となる記録で、どの企業でも必ず作成しなければなりません。
一方、補助簿は会社によって違いますが、必要に応じて追加し、取引の内容をより細かく管理します。
主要簿
主要簿とは、会社のすべての取引を記録し、会計処理のコアとなる帳簿のこと。
決算書や財務諸表を作成するのに必要です。
会社は必ず作成しなければなりません。
主要簿の代表的な2つ
| 主要簿の種類 | 役割 |
|---|---|
| 仕訳帳 | すべての取引を「借方」「貸方」に分類して記録する帳簿。取引の内容を正確に残す。 |
| 総勘定元帳 | 仕訳帳の内容を勘定科目ごとに整理した帳簿。会社の財務状態を把握するための最重要帳簿。 |
経理初心者でも、まずは上記2つの役割を把握しておけば、帳簿の全体像をつかみやすくなります。
補助簿
補助簿は、主要簿だけでは把握しきれない取引内容を細かく管理するための帳簿。
取引量や業務内容に応じて、会社ごとに必要な補助簿が異なります。
作成が必須ではありませんが、実務をするうえであると便利です。
代表的な補助簿の例5つ。
| 補助簿の種類 | 役割 |
|---|---|
| 現金出納帳 | 現金の入出金だけを記録する帳簿。残高管理や不正防止に効果的。 |
| 仕入先元帳(買掛金元帳) | 仕入先ごとに、過去の取引内容や買掛金の残高を確認できる。 |
| 得意先元帳(売掛金元帳) | 顧客ごとの売上や売掛金を把握でき、未回収の管理に役立つ。 |
| 仕入帳・売上帳 | 商品の仕入や販売を詳細に記録する。 |
| 固定資産台帳 | 車やPCなど長期間使用する資産を管理する。購入日や使用状況が整理できる。 |
帳簿の記入方法

帳簿の記入は、会社の経理において欠かせない基本作業です。
正しく書けるようになると、ミスのない経理処理につながり、業務全体がスムーズに進みます。
難しそうに感じるかもしれませんが、ルールを押さえて繰り返し練習すれば、経理初心者でも確実に身につけられます。
次では、まず必要な記入ルールを理解し、その後に実際の記入例を確認していきます。
記入のルール
帳簿記入の基本ルールを理解しておくと、どんな取引が起きても落ち着いて処理できるようになります。
なぜなら帳簿の記入項目は、「日付・取引内容・金額・勘定科目」で、これを知っておけば大きなミスを防げるためです。
帳簿記入の基本ルール
- 日付を正確に書く・・・取引が発生した日を書き、後から状況を追いやすくする。
- 取引内容を簡潔に書く・・・誰が見ても理解できるよう、短くまとめることがポイント。
- 金額をアラビア数字で書く・・・「1,000」など見慣れた数字で記入します。(漢数字は×)
- 勘定科目を必ず指定する・・・集計が正確になるように、どの項目に当てはまる取引なのかを分類する。
記入例
ルールを押さえたら、実際にどのように記入するのかを確認してみましょう。
例を理解しておくと、実務で迷う場面が減り、作業のスピードも上がります。
ここでは、日々の簡単な仕分けの例を見てみましょう。
記入例(10月1日文房具を購入して現金1,000円を支払った場合)
取引日:10月1日
内容:文房具を購入
勘定科目:消耗品費
金額:1,000円
これを帳簿に記入すると、次のような形になります。
10/1 文房具購入 消耗品費 1,000
たったこれだけでも、取引の内容が明確に記録され、後から見返したときに迷いません。
さらに仕訳帳に転記する際は、以下のように複式簿記(「借方」「貸方」を意識して)で書きます。
| 借方 | 貸方 |
| (消耗品費) 1,000 | (現金) 1,000 |
このように書くと、現金が減り、費用が発生したことが分かります。
記入作業に慣れてくると、取引が起きた瞬間に「どの勘定科目で処理するか」が自然と判断できるようになりますよ。
帳簿管理の注意点2つ
会社の経理では、帳簿管理が正しくできているかどうかで、業務全体の質が変わります。
前にも言いましたが、帳簿は日々の取引を正しく整理し、会社の状態を数字で表すもので、経営判断や税務にも直結する重要なデータだからです。
確かに、書き方さえ覚えれば大丈夫なのですが、帳簿は記入後の管理まで含めて正確さが求められます。
そのために以下の2つを意識しましょう。
正確な記入
帳簿記入は「正確さ」を最優先にしましょう。
特に経理初心者は、勘定科目の選択ミスや記入漏れが起こりやすいので、次のポイントを意識すると安心です。
定期的なチェック
帳簿は「書いたら終わり」ではなく、定期的に見直しましょう。
経理の記録は日々の積み重ね。定期的(月末や四半期ごと)に振り返ると、誤記や漏れを早めに発見できるからです。
特に会社の帳簿は税務調査の対象になることがあるので、整理不足は注意が必要です。
帳簿が整ってない場合のリスク
会社の帳簿が整っていない状態は、経営面・税務面の両方で大きなリスクを抱えている状態です。
記録が不正確だと、「経費の漏れ」「利益の誤計算」「不正の疑い」などが指摘されやすくなります。
さらに追徴金や罰金、会社の信用の低下にもつながりかねません。
- 追加の税金を払う可能性がある
帳簿の不備で申告内容を間違えると、税務署から修正を指示されることがある。 - 法的罰則を受ける場合がある
会社法の帳簿の作成義務を怠ると、100万円以下の過料が科される場合がある。 - 経営判断や意思決定に悪影響が出る
正しい数字がなければ、コスト削減や投資判断が難しくなる。 - 会社の信用が落ちる
税務調査で問題が発覚すると、金融機関や取引先の信頼に影響することがある。
将来のリスクを減らすためにも、帳簿を整えることは大事です。
帳簿管理に必要なスキル

帳簿管理を正確に行うためには、いくつかの基本スキルを身につけておくと便利です。
そこで特におすすめしたいのは次の3つ。
これらのスキルは日々の業務の中で磨いていけるものばかりです。
スキルを磨いて、業務の正確性と効率を高めていきましょう。
簿記の知識
帳簿を扱ううえで簿記の知識は欠かせない基礎スキルです。
会社の帳簿は複式簿記で記録します。
今どき簿記のメインである仕分け作業など、会計ソフトがやってくれると聞こえてきそうです。
とはいえ最初に情報を入力するのは人力なので、ヒューマンエラーを最小限にしたり、早い時点でミスに気付くためには簿記の知識は必要です。
簿記は最初は難しく感じるかもしれませんが、学んだ分だけ業務が楽になります。
エクセル
エクセルは経理業務の効率を大幅に高める必須ツールと言えます。
帳簿管理では毎日数字を扱うため、エクセルの操作に慣れているほど作業スピードが上がり、ミスを防ぎやすくなります。
また、関数やフィルター機能を使うことで、大量のデータも整理しやすくなります。
普段から既存のエクセル管理表を触ったり、無料学習サイトを利用して少しずつ覚えていくといいですよ。
会計ソフト
会計ソフトを使いこなすことは、現代の経理に欠かせないスキルです。
今は多くの会社で会計ソフトを使ってデータを管理するのが一般的になっています。
そのため会計ソフトを使うことに苦手意識を持っていると、なかなか経理業務を快適にやっていくことはできません。
なので日々の業務で、できるだけ会計ソフトに触れて慣れていきましょう。
会計ソフトを使うことで、ヒューマンエラーを減らせるほか、処理の流れを理解しやすくなります。
問題が起こっても、マニュアルを見ながら対応できるくらいになればすばらしい。
まとめ
会社の経理における帳簿は、日々の取引を正しく記録し、会社の状態を数字で説明するための大切な土台です。
家計簿とは違い、複式簿記を使って現金以外の動きも整理する点が大きな特徴です。
帳簿をきちんと整えることで、会社の経営状況を把握しやすくなり、税務申告や税務調査にも落ち着いて対応できます。
特に経理初心者は、次のポイントを意識すると安心です。
焦ることはありません。すべては日々の業務の中で経験し、磨いていけるものばかりです。
基本を押さえて取り組めば、帳簿管理にも徐々に慣れていき、経理業務への自信も自然とついていきますよ。
以上ここまで読んでいただきありがとうございました。