この記事で解決できること
- AI導入で経理の仕事がどう変わるのか
- 経理初心者が今から準備しておくべきスキルは?
- AIを使う際に知っておくべき注意点
こんな悩みを解決します。
日商簿記3級、経理・契約5年、給与・社保5年のよんちゃわんが説明いたします。
AIを使った経理業務と聞いて、はっきりイメージできる人がどれほどいるでしょうか。
これが経理初心者であれば、不安を感じていないはずはないでしょう。
AIを使う理由を正しく理解して使いこなせれば、経理の仕事はぐっとラクになりますよ。
記事前半では経理でAI導入が検討される背景を、後半ではAI導入後の経理で必要なスキルを解説するので、ぜひ最後まで読んでみてください。
AIって簡単に言うとどんなの?

AIとは、人間の代わりに「考える・判断する・作業する」をこなしてくれるコンピューターの仕組みのことです。
難しそうに聞こえますが、実はすでに日常生活で使われています。
おなじみの例を言うと、こちらがそうです。
- LINEの自動返信
- Googleの検索予測
事務の仕事に置き換えると、AIが得意なのはこんな作業です。
- 書類に書かれた文字を読み取って、自動で入力する
- たくさんのデータを整理・分類する
- よくある質問に自動で答える
つまり「毎日繰り返す、地味で手間のかかる作業」を代わりにやってくれるツールです。
経理の仕事も正に、データ入力や書類確認などのルーティン作業がたくさんありますね。
経理業務とAIの相性はとても良いといわれていて、実際にAI機能搭載の会計ソフトやアプリを利用する会社も増えています。
次では経理業務にAIを使うべき理由について解説します。
経理業務にAIを使うべき理由

経理業務は、ルーティンワーク(定型作業)が多い仕事です。
請求書の入力、領収書の確認、経費のチェックなど、どれも手間と時間がかかります。
また担当が特定の人に集中しがちな職場では、ミスや遅れが起きやすい状態を作ってしまいがちです。
こうした状態を改善するために、経理業務にAIを取り入れる会社も増えています。
そうするとルーティンワークをAIが担うことで、時間的余裕ができた経理担当者はどうするでしょうか。
より重要な判断業務に集中できるようになるわけです。
AIができる経理業務は何?

AIが特に得意なのは、毎回同じ手順で行う「定型業務」です。
経理にはそうした作業が多く、AIとの相性が良いんです。
それぞれ解説します。
請求書・領収書のデータ入力
請求書や領収書に書かれた文字を読み取り、自動でシステムに入力する作業は、AIが最も力を発揮する場面のひとつです。
| 作業種類 | 自動化内容 |
|---|---|
| 領収書の整理 | スキャン済みの領収書をフォルダにまとめてアップロードするだけで、AIが自動で読み込みを開始。日付や金額、取引先などを次々と抽出し、データ化してくれます。 |
| データ入力 | スキャンした領収書の画像を見て、AIが文字を読み取り、日付・金額・取引先などの項目を自動で抜き出してくれます。 |

手作業だと、1枚ずつ目で確認しながら入力するため、時間もかかりますし、打ち間違いも起きやすいです。
AIなら大量の書類を素早く、正確に処理できます。
入力作業に費やしていた時間を一気に短縮!
仕分業務
勘定科目の仕訳(取引内容をルールに従って分類する作業)は、パターンを学習したAIが自動で振り分けてくれます。
経理初心者が苦手とする作業のひとつですが、AIが自動で勘定科目を提案してくれるので、担当者は確認ボタンを押すだけで仕訳登録は完了です。

仕訳を考える瞬間に、
AIからの仕分けの提案があります。でも誤りがあれば、経理担当が確認する必要があります。
経費精算の内容チェック
経費精算の申請内容に誤りや不正がないかチェックする作業も、AIが対応できる業務です。
アップロードされた領収書やデータをAIがチェックして、
- 金額がほかと比べて極端に高いぞ
- 同じ領収書が2枚ある
- 社内ルールに合わない申請内容だ
などの“おかしな点”を見つけて警告してくれます。

経理担当者はその警告を見て「本当に間違いかどうか」を確認するだけ。 間違いであれば修正。
確かに、あやしいものをピックアップしてくれると助かりますね。
人の目だけで大量の申請書をチェックするのは、見落としのリスクがあります。
AIを活用することで、チェック精度を高めながら、担当者の確認作業を大幅に減らせます。
会議資料・議事録の内容まとめ
会議の録音や議事録の文章を読み込んで、要点を自動でまとめる作業も、AIが得意とする分野です。
長い会議の内容を文章に起こしてまとめる作業は、意外と時間がかかります。
AIなら、音声や長文のテキストを短時間で要約してくれます。

「1時間の会議内容を3分で要約」といったことも、AIには難しくありません。
自力でやりだしたら結構かかりっきりで大変なんですよね。
社内の簡単な問い合わせ対応(チャットボット)
よくある質問への自動回答もAIの得意分野です。
チャットボットとは、テキストで自動応答してくれるAIツールのことです。

あらかじめ回答を登録しておくことで、担当者が対応しなくても社内の問い合わせに答えられます。
AIが問い合わせの一次対応をすることで、担当者の負担は軽減されます。
AIの一次対応で、次に直接経理担当が対応する件数がグッと減りますね。
AIができない経理業務は何?

AIは定型作業が得意な一方で、判断・コミュニケーション・イレギュラー対応は苦手です。
AIはあくまで補助ツールなので、最終的な責任は人間が担う必要があります。
それぞれ解説します。
勘定科目の最終的判断
AIは、過去のデータをもとに勘定科目(取引内容を分類するための項目)を自動で振り分けることができます。
しかし、最終的な判断を下すのは人間の役割です。
たとえば、同じ「会食費」でも、接待目的か社内の懇親会かによって、適切な勘定科目が変わることがあります。
こうした文脈や状況を読み取る判断は、AIには難しい。
AIの仕訳結果が100%正しいわけではありません。
最後は担当者がしっかり確認することが大切です。
イレギュラー案件の対応
AIは、学習したパターンに基づいて動くツールです。
そのため、過去に前例のない取引や、突発的なトラブルへの対応は得意ではありません。
たとえば、取引先から通常とは異なる支払い条件を求められたら、AIだけでは対処できません。
想定外の事態が起きたとき、柔軟に考えて判断できるのは人間だけです。
経理担当者の経験と判断力が、こうした場面で力を発揮します。
業務フロー改善
経理の業務フローを見直し、より効率的な仕組みを考えることも、AIには難しい仕事です。
業務フローの改善には、現場の課題を肌で感じ、他部署の状況も踏まえながら、全体を俯瞰する視点が必要です。
AIはデータを分析することはできますが、「どう変えれば現場がもっとうまくいくか」を考えるのは人間にしかできません。
経理担当者それぞれが日々の業務を通じて気づいた問題点を記録しておくと、改善提案につながります。
税金の判断
税務処理(税金に関する計算や申告の手続き)は、法律や制度に基づいた正確な判断が求められる業務です。
税制は毎年のように改正されるので、AIが学習した情報が最新とは限りません。
新しい制度や変更への対応も、AIだけに任せるのは不十分です。
またAIには、「ハルシネーション」(事実と異なる情報をもっともらしく出力してしまう現象)のリスクもあります。
税金の最終判断は、必ず担当者や専門家が確認すべきです。
取引先や社内とのやりとり
取引先への連絡や、他部署との調整といったコミュニケーション業務は、AIが最も苦手とする領域のひとつです。
相手の状況や感情を読みながら言葉を選んだり、関係を築きながら交渉したりすることは、人間にしかできないことですから。
たとえばチャットボットで定型的な質問には答えられても、込み入った相談や繊細なやりとりへの対応はできません。
社内外との信頼関係を育てるのは、経理担当者自身の大切な仕事です。
AI導入で得られるメリット3つ

AIを経理に取り入れると、日々の仕事はどう変わるのでしょうか。
「大変だな」と感じやすい場面こそ、AIが助けてくれるメリットがあります。
それぞれ解説します。
作業の効率化
延々と続く入力作業。
請求書のデータ入力や書類の仕分けなど、毎日繰り返す地味な作業はAIが代わりにこなしてくれます。
これまで残業までしてこなしていたルーティン作業の時間が、ぐっと短縮されます。
たとえば、月末に半日かかっていた請求書処理が、AIの導入で1〜2時間に短縮されたらめちゃくちゃ助かりますよね。
空いた時間は、数字の分析や資料作成などに集中できますね。
人的ミスの削減
経理の仕事は、小さなミスが大きなトラブルにつながりやすいです。
金額の打ち間違いや二重入力は、後から気づいたときの修正対応が大変です。
- 締め切り前に焦りながら確認作業をする
- 定時まで残りの時間を気にしながら作業する
どれも精神的にもきつい場面のひとつではないでしょうか。
AIは同じ作業を正確に繰り返すことが得意なため、こうしたミスをぐっと減らせます。
異常な数値も自動で検出してくれるので、「見落としてしまった…」という不安も軽減されます。
人手不足解消
「一人でこなす仕事量が多すぎる」と感じている経理担当者は、少なくありません。
経理は専門知識が必要なため、すぐに戦力になる人材を確保するのが難しい職種です。
AIが定型業務を担うことで、少ない人数でも業務を回しやすくなります。
またAIを使うと業務の進め方が標準化されるので、「この処理、あの人しかわからない」という状態になりにくくなります。
経理初心者でも、AIの補助付きであれば安心して仕事を進めやすくなりますよ。
経理担当の仕事は変わる

AIが導入されたら、経理の仕事はなくなるのでしょうか。
結論からいうと、経理の仕事がなくなることはないと考えられています。
なぜならAIはあくまで補助ツールだからです。
データ入力や書類処理などの定型業務は自動化されますが、以下のような業務は経理担当にしかできない業務として残るのです。
- 財務データをもとにした経営判断
- 法改正や新制度への対応
- 取引先や他部署との調整・交渉
つまり、仕事の「量」ではなく「中身」が変わるイメージです。
毎日の地道な入力作業から解放されてできた時間は、より高度な判断や分析に充てられます。
経理担当者には、数字を読み解く力や、状況に応じて判断する力がこれまで以上に求められそうですね。
経理担当に今後必要なスキルは?

AIが普及しても、経理担当者に求められるスキルはなくなりません。
むしろ、土台となるスキルをしっかり持ったうえで、AIを使いこなす力が求められるようになっています。
それぞれ解説します。
基本スキル(エクセル・会計ソフト・簿記)
経理の基本スキルは、AIが導入されても変わりません。
エクセルでのデータ整理、会計ソフトの操作、簿記の知識は、経理業務のベースとなります。
なぜならこれらを身につけていないと、AIが出した結果が正しいかどうかの判断もできないからです。
たとえば、AIが自動で仕訳(取引内容を分類する作業)をしても、簿記の知識がなければ「この結果が合っているか」を確認できませんよね。
基本スキルは、AIを正しく使いこなすための「読み書き」のようなもの。
ここはしっかり固めておきたいです。
経理に必要なスキルについては、こちらの記事「【初心者向け】経理で必要なパソコンスキルを解説|準備は独学でも大丈夫」も読んでみてください。
AIを使いこなすスキル
AIツールを使える人と使えない人では、仕事のスピードと質に大きな差が生まれます。
AIを使えるということは、具体的には、ChatGPTなどの生成AIに対して、的確な指示(プロンプト)を出して期待通りの結果を引き出せるスキルがあるということです。
また、AIの出力結果を鵜呑みにせず、内容を確認・修正できる判断力も必要になります。
どうやってスキルを養うかはとてもシンプルです。
まずは日常業務の中で、文章の要約や資料作成にAIを試してみて、使いながら慣れていくのがいいでしょう。
コミュニケーション力
AIが定型作業を担う分、経理担当者には「人との仕事」がより重要になります。
取引先とのやりとりや他部署との連携など、経理担当者の仕事は社内外のコミュニケーションが欠かせません。
AIにはこの役割は無理です。
たとえば、
- 財務データを経営層にわかりやすく説明する
- 他部署と連携して業務改善を進める
数字を言葉で伝えることは、経理担当者にしかできません。
定型作業が減った分、人と関わる仕事の比重が増えていくでしょう。
AIを導入する際の注意点3つ
AIは便利な反面、使い方を間違えるとトラブルにつながることもあります。
経理初心者は特に、事前に知っておくべき注意点が3つあります。
AIを導入する際の注意点3つ
- AI以外でも業務自動化はできる(エクセル)
- AI導入は段階的にするほうがいい
- 個人情報・機密情報の取り扱い注意
それぞれ見ていきましょう。
AI以外でも業務自動化はできる(エクセル)

業務を効率化したいと思ったとき、いきなりAIを導入する必要はありません。
実際は、多くの経理担当者がすでに使っているエクセルでも、かなりの自動化が可能です。
たとえば、毎月同じ集計作業や、コピー&ペーストを繰り返す転記作業は、エクセルの関数やマクロ(作業を自動で繰り返す機能)で対応できることがあります。
まずは「今の仕事のどこに時間がかかっているか」を整理してみてもいいのでは。
その結果、エクセルで十分な場合もありますし、AIが必要な場面も見えてきます。
AI導入もお金がかかるので、エクセルですむならいいですよね。
AI導入は段階的にするほうがいい
AIを導入するなら、一度に全部変えようとしないことが大切です。
たとえば、新しいアプリを使い始めるとき、機能を全部いっぺんに覚えようとすると混乱しますよね。
AIの導入も同じで、最初から多くの業務に使おうとすると、ミスやトラブルが起きやすくなります。
まずは「請求書のデータ入力だけ試してみる」など、小さな範囲からスタートするのがよさそう。
うまくいったら少しずつ範囲を広げていくことで、現場への負担を抑えながら定着させられます。
焦る必要はないですね。
個人情報・機密情報の取扱い注意
AIに情報を入力するとき、何を入れてもいいわけではありません。
それは超危険な考えです。
AIツールの中には、入力された内容をシステムの学習に使用するものがあります。
そこにお客様の名前や口座番号、会社の財務データを入力してしまうと、情報が外部に漏れるリスクがあります。
経理の仕事は、特に機密性の高い情報を扱うことが多いため、AI使用の際のルールとして意識しておいたほうがいいでしょう。
- 個人情報や社内の財務データはAIに入力しない
- 「どんな情報をAIに入れていいか」を職場でルール化する
- AIをどう使ったか、定期的に振り返る習慣をつける
AIはあくまでも補助ツールです。
ルールを守って安全に使うことが大事です。
まとめ:AIで効率化された経理業務を快適に進めよう
この記事では、経理業務とAIの関係について解説しました。
AIはデータ入力や経費チェックなどの定型作業を自動化してくれる頼もしいツールです。
一方で、税金の判断や取引先とのやりとりなど、人間の経験や判断が必要な業務は引き続き経理担当者の仕事です。
AIを使った経理業務で大切なことは次の5つにまとめられます。
- まずはエクセルなど身近なツールから効率化を試してみる
- AIは「補助ツール」として正しく使う
- 基本スキル(エクセル・会計ソフト・簿記)を土台に、AIを使いこなす力を身につける
- AIは一気に導入するのではなく、小さな範囲からゆっくり使い始める
- 個人情報・機密情報の取り扱いルールを守る
AI導入で時間のかかる定型業務から解放された分、より重要な仕事に集中できる環境が整っていきます。
AIもより高度な業務も、焦らず普段からしっかり取り組んでいきましょう。
以上ここまで読んでいただきありがとうございました。