この記事で解決できること
- レシートと領収書の使い分けが分からない。
- レシートと領収書の保管方法が知りたい
- 経理担当者がチェックしている具体的なポイント
こんな悩みを解決します。
日商簿記3級、経理・契約5年、給与・社保5年のよんちゃわんが説明いたします。
「経費精算で、レシートと領収書どっちを出せばいいんだろう?」という疑問に答えられますか?
私は明確な回答ができませんでした。
経理としては、社内ルールに従って対応するので、それを根拠に淡々と経費処理していました。
小さなことですが、知っていると業務を安心してすすめられます。
この記事の前半では「レシートと領収書の違い」について、後半では「インボイス制度での取り扱い」についても解説します。
じっくり読んでみてください。
レシートと領収書の違い

「領収書の方が正式」という思い込みは本当でしょうか。
経理初心者が知りたいのは、レシートと領収書の基本的な違いです。
3つの視点で解説します。
記載内容の違い
レシートには、買った商品名・数量・値段などが細かく印字されます。
スーパーやコンビニでもらうレシートを思い浮かべてみてください。
一方、領収書は宛名・何に使ったかのひと言・金額が中心に書かれるのが一般的です。
手書きで作られることも多く、細かい内容が省かれていることもあります。
見分けるポイント
- レシート:「何を買ったか」が分かる書類
- 領収書:「誰が払ったか」が分かる書類
経理上の違い
会社での処理では、レシートも領収書もどちらも支払いの証拠として使えます。
とはいえ、宛名がない書類は、会社のルール次第で使えないこともあります。
特に金額が大きい支払いの場合、領収書を求める会社は少なくありません。
取引先や金額によって、必要な書類が変わる点に注意が必要です。
逆に、少額の支払いなら、レシートだけで処理を済ませられることがほとんどです。
社内ルールではどちらを優先するか確認しておきましょう。
税務上の違い
税金の面でも、レシートと領収書はどちらも「支払った事実を示す書類」として扱われます。
国も、必要なことが書いてあれば、レシートで問題ないとしています。
ただし、宛名や使い道の記載が足りない領収書については、あとで税務署から内容を聞かれるおそれがあります。
「お品代」とだけ書かれた領収書はOK?
それじゃあ何に使ったお金か分かりませんね。何を購入したのか、具体的に書いてもらう必要があります。
書類の種類よりも、書いてある内容がしっかりしているかが大事なポイントです。
経理処理で必要なのはどっち?
レシートと領収書、結局どっちを出せばいいんでしょうか。
基本の考え方を確認しましょう。
両方はもらえない
レシートと領収書は、どちらか一方しか受け取れないのが基本です。
お店によっては、領収書を発行すると同時にレシートを回収する場合もあります。
そもそも経理処理では、レシートと領収書は同等の証拠書類として扱われます。
片方があれば、経費として十分に認められる仕組みです。
そのため、両方をもらって二重に提出することはできません。
なぜなら同じ支払いを2回経費として計上してしまう恐れがあるからです。
- レシートをもらったら、それで手続き完了
- 念のため領収書も欲しい場合は、その場でレシートを返す
「1回の支払いに1枚」が基本です。
領収書の方が必要な場合がある
普段はレシートで問題ありませんが、会社のルールによっては領収書が求められることもあります。
特に金額が大きい支払いの場合。
たとえば、次のような場合です。
- 高額な備品購入(パソコンや什器など)
- 取引先との会食といった交際費
- 官公庁への提出書類がある場合
これらは、宛名を明記した領収書のほうが、支払った相手や目的を示しやすいためです。
まずは、会社の経理ルールを確認しておくと安心です。
どっちもなかった場合の精算方法
レシートも領収書も受け取れなかった、あるいはなくしてしまった。
そんな時は、多くの会社では出金伝票という書類で代用できます。
出金伝票とは、支払った日付・金額・支払先・目的を自分で記入する書類のことです。
たとえば自動販売機での購入や、慶弔費のように領収書をもらいにくい支払いでも使われます。
- 支払った日付
- 金額
- 支払先の名前
- 何のために使ったか
これらを漏れなく書いておけば、経費として認められやすくなります。
ただし、社内ルールによって対応が異なるため、事前に確認しておいたほうがいいでしょう。
経理が確認するポイント

ところでレシートや領収書を提出する際、経理担当者は書類のどこを見ているのでしょうか。
ここでは、実務でよく確認される4つのポイントを紹介します。
日付・金額・支払先
経理が最初に確認するのは、日付・金額・支払先の3つです。
これらは、いつ・いくら・どこで支払ったかを示す基本情報です。
たとえば日付が抜けていると、どの月の経費として処理すべきか判断できなくなります。
月をまたぐ精算では、特に確認が厳しくなる項目です。
金額についても、合計金額と内訳が一致しているかチェックします。
支払先の会社名や店舗名も大事で、同じ日に似たような支払いがあると、区別がつかなくなるためです。
- 日付:西暦・和暦どちらでも可、ただし省略は避ける
- 金額:税込か税抜か分かるように
- 支払先:正式名称が望ましい
この3点がそろっているか、まずチェックします。
購入した内容
次に確認されるのが、何を購入したかという具体的な内容です。
もう一度いいますが、領収書には何を購入したのか、具体的に書いてもらいましょう。「お品代」だけでは情報不足です。
たとえば、文房具なのか、接待での飲食代なのかによって、計上する勘定科目が変わります。
内容が分からないと、正しい仕分けができません。
その点では、レシートは商品名が自動的に印字されるため安心です。
領収書の場合は、但し書きに具体的な内容を書いてもらう必要があります。
- 「お品代として」→NGの代表例
- 「文房具代として」→OKな書き方
- 「懇親会飲食代として」→OKな書き方
具体的に書いてもらうだけで、後の確認作業がぐっとスムーズになります。
宛名の有無
宛名が書かれているかどうかも、経理がチェックする項目のひとつです。
宛名とは、支払った本人や会社の名前を指します。
会社によっては、宛名がない書類を経費として認めないルールを設けています。
理由は、誰が支払ったのか、書類だけで証明できないためです。
「上様」はアウトですか?
誰宛てか分からないので、社内ルールによってはダメな場合があります。
- 宛名は会社名でも個人名でもOKな場合が多い
- 「上様」表記は避けてもらうのが望ましい
- 宛名なしのレシートは、明細の詳しさでカバーできることも
いっそ宛名は、正式な会社名で統一してもらうよう各部署に周知しておくべきです。
インボイスの記載事項
インボイス制度が始まってから、経理の確認項目がひとつ増えました。
それが適格請求書(インボイス)としての記載事項です。
複数税率に対応し、事業者の方が消費税を正確に納めていただくために必要な制度がインボイス制度です。
引用元:国税庁「インボイス制度について」
インボイスとは、消費税の仕入税額控除を受けるために必要な書類のことです。
要は「決められた項目が書かれた領収書やレシート」を指します。
インボイスの決められた記載項目
- 発行者の登録番号(Tから始まる番号)
- 適用税率(8%・10%など)
- 税率ごとに区分した消費税額
- 取引内容や金額
登録番号が記載されていない場合、控除の対象にならない可能性があります。
レシートと領収書の保管方法
レシートや領収書は、受け取って終わりではありません。
正しく保管しないと、証拠書類としてあとで確認できなくなる恐れがあります。
紙・電子データそれぞれの保管方法と、保管期間を解説します。
紙のレシート・領収書
紙のレシートや領収書は、保管の仕方を工夫しないと、あとで見づらくなってしまいます。
バラバラのまま保管すると、必要なときに探し出せません。
多くの会社では、A4用紙に日付順で貼り付ける方法が使われています。
月ごとにまとめておけば、あとから確認する際もスムーズです。
また、レシートは熱や光に弱く、適切に保管しないと文字が消えてしまう可能性があります。
そのためレシート・領収書の経理提出までの取り扱いは、以下のイメージがあるといいですよ。
- 直射日光や蛍光灯の光を避ける
- 財布に入れっぱなしにしない(可塑剤に弱いため)
- ハンドクリームなどの油分にも注意
経理は受け取ったら早めに貼り付けておくと安心です。
電子データで受け取った領収書
最近では、メールやアプリで領収書を受け取ることも増えてきました。
電子データの場合、紙とは違った保存ルールがあります。
電子帳簿保存法の改正により、タイムスタンプなどの要件が緩和されました。
タイムスタンプとは、データが改ざんされていないことを示す仕組みのこと。
たとえばスマートフォンで撮影した画像データも、条件を満たせば保存として認められます。
レシートを受け取ったその場で撮影しておくと、印字が消える心配もありません。
- 撮影後、会計システムなどにアップロード
- 要件を満たせば、紙の原本を破棄することも可能
- 社内規定の確認は必須
紙の保管スペースを減らせる点も、電子データならではのメリットです。
レシート・領収書の保管期間
レシートや領収書は、法律で定められた期間、保管する義務があります。
うっかり早く処分してしまわないよう注意が必要です。
保存期間は、事業形態によって期間が異なります。
| 法人 | 原則7年間 |
| 個人事業主(青色申告) | 7年間 |
| 個人事業主(白色申告) | 5年間 |
保管期間中は、いつでも確認できる状態にしておくことが大切です。
インボイス制度での取り扱い

2023年10月から始まったインボイス制度で、領収書やレシートの扱いも変わりました。
ではどちらがインボイスとして使えるのか、順番に確認していきましょう。
領収書はインボイスになる?
領収書は、決められた項目を満たせば適格請求書(インボイス)として扱えます。
インボイスとは、消費税の仕入税額控除を受けるために必要な書類のことです。
領収書がインボイスとして認められるには、次の項目が必須です。
インボイスとして必要な記載項目
- 登録番号(発行事業者の名前やTから始まる番号)
- 取引した年月日
- 取引内容(軽減税率対象品目かどうか)
- 税率ごとの合計金額と適用税率
- 税率ごとの消費税額
- 受け取る側(会社や個人)の名前
たとえば、登録番号の記載が漏れていると、インボイスとして認められません。
すると消費税の控除が受けられなくなる可能性があります。
受け取った領収書に、これらの項目がそろっているか確認する習慣をつけましょう。
レシートはインボイスになる?
レシートも、決められた項目を満たせば適格簡易請求書(簡易インボイス)として扱えます。
簡易インボイスとは、通常のインボイスを簡略化した書類のことです。

必須となる項目は、以下の5つです。
- 登録番号(Tから始まる番号)
- 取引した年月日
- 取引内容
- 税率ごとの合計金額と適用税率
- 税率ごとの消費税額
大きな違いは、受け取る側の名前が不要な点です。
スーパーやタクシーのように、不特定多数が利用するお店のレシートがそれ。
一人ひとりの名前をレシートに書くのは、現実的ではありません。
そのため、宛名がなくても簡易インボイスとして認められる仕組みになっています。
領収書とレシートとどっちがいい?
インボイス制度では、領収書とレシートのどちらが良い、という優劣はありません。
どちらも登録番号などの必要項目が記載されていれば、仕入税額控除の対象になります。
とはいえ手書きの領収書には注意が必要です。
手書きの場合、登録番号の書き間違いや記載漏れが起こりやすくなります。
- 登録番号(Tから始まる13桁の数字)の書き間違い
- 税率ごとの消費税額の計算ミス
- 適用税率の記載漏れ
これらの不備が一つでもあると、インボイスとして認められません。
その点、機械で発行されるレシートは、記載ミスが少なく安心ですよね。
経理のレシート・領収書についてよくある質問3つ
Q:手書きの領収書は経費として認められますか?
A:必要な項目が記載されていれば、問題なく使えます。
ただし、書き間違いや記載漏れのないように、 登録番号や金額は、その場で確認しておくと安心。
Q: 数百円の少額な支払いでも、レシートは必要ですか?
A: 金額に関わらず、経費にするなら保管が必要です。
以前は少額なら不要という特例がありましたが、現在は原則廃止されているので、必ず受け取っておきましょう。
Q:クレジットカードの利用明細だけで経費にできますか?
A:明細だけでは、経費として認められないことが多いです。
利用明細に加えて、レシートや領収書も保管しておくと、経理処理がスムーズになります。
まとめ:レシートも領収書も内容確認が大事
レシートと領収書は、どちらも支払いを証明する大切な書類です。
必要な情報が明記されていれば、経理処理でもインボイスとしても問題なく使えます。
- 日付・金額・支払先・購入内容が明記されているか
- 宛名や登録番号など、必要な項目に不備がないか
- 紙は貼り付け保管、電子データはルールに沿って保存
書類の種類にこだわるより、内容確認を習慣にすることが大切です。
迷ったときは、まず社内ルールを確認してみましょう。
以上ここまで読んでいただきありがとうございました。