この記事で解決できること
- 生成AIと「AI搭載会計ソフト」の違い
- 経理業務で生成AIが役立つ具体的な場面
- 初心者でも安心して使い始めるコツ
こんな悩みを解決します。
日商簿記3級、経理・契約5年、給与・社保5年のよんちゃわんが説明いたします。
「生成AIを経理でどう使えばいいのかわからない」「難しそうで手が出ない」-そんな不安を抱えている人もいるでしょう。
でも実際に触ってみると、思ったほど難しいものではありませんでした。
AIが導入されたら経理業務はどう変わるんだろうと身構える前に、まずは仕事を快適にこなせるツールとして上手に付き合う方法を知っておきましょう。
記事前半では「生成AIを使ってみた感想」について、後半では「AI導入後の経理業務を上手くこなすコツ」についても解説します。
簿記3級の私が生成AIを触ってみた感想

「生成AI」と聞くと、なんだか難しそうで身構えてしまう人も多いはずです。
実際に触ってみて感じた、率直な感想を3つの視点からお伝えします。
触ってみたら普通に使えた
正直に言うと、生成AIを使い始める前は、専門知識がないと使いこなせないのではないかと思っていました。
しかし実際に触ってみると、会話形式で答えを得られるシンプルな操作でした。
パソコン操作が得意かどうかは関係ありません。
例えば「勘定科目の一般的な考え方を教えてほしい」と聞くだけで、わかりやすい説明が返ってきます。
難しい設定や専門的な準備は必要ありませんでした。
簿記3級の知識の私にも、分かりやすい答えが返ってくるので、抵抗なく使い始められました。
思ったより普通に使えるというのが最初の感想です。
調べものの時間が減った
経理の仕事をしていると、ちょっとした調べものに時間を取られます。
以前は、Excelの関数を忘れたときや言葉の意味がわからないとき、ネットで検索して複数のページを見比べていました。
この作業は、意外と時間がかかりますよね。
生成AIを使うと、知りたいことをそのまま質問するだけで、要点をまとめて教えてくれます。
- Excelの関数の使い方
- 会計用語の意味
- 文章の言い回し
こうした細かい調べものが、数分の作業に短縮されました。
積み重なると、1日の中でも意外と大きな差になっています。
確認できる相手ができた
経理の仕事は、一人で黙々と作業していると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
ちょっとした疑問があっても、周りに気軽に聞きづらい時ってありますよね。
そんな時は、まず生成AIに質問します。
もちろん思考停止で生成AIに従うわけではありません。
例えば、この処理の考え方で合っているかどうかを聞くと、一般的な視点からの答えが返ってきます。
最終判断は自分でするので、頭の中を整理するヒントにはなります。
上司や先輩に聞く前に、自分の頭の中を一度整理できる。
そんな相手ができた感覚です。
経理でAIができること

ここではAIに何ができるのかをまとめてみます。
何ができて何ができないかが分かれば、期待しすぎたり不安になったりしませんから。
では役割を2つに分けて整理します。
定型業務の自動化
毎回同じ手順で行う作業は、AIが得意とする分野です。
決まったパターンがある処理ほど、力を発揮してくれます。
例えば請求書のデータ入力や、銀行明細の仕訳などの繰り返し作業は、会計ソフトに搭載されたAIが自動で処理してくれます。
一度パターンを覚えさせれば、次回以降は似た処理を自動で提案してくれる仕組みです。
つまり人がゼロから入力する手間が減ります。
よって定型業務は任せて、その分の時間を他の作業に回せるようになります。
このようにAIは、過去のデータや情報を学習して、同様の処理を自動でやってくれます。
作業のサポート
一方で、判断が必要な場面や文章を考える場面は、まだ人の力が必要です。
ここで役立つのが、サポート役としての生成AI。
例えば、次のような使い方です。
- 「この文章、もう少しわかりやすくできないか」と相談する。
- 「この考え方で合っているか」を確認する。
生成AIは答えを断定するというより、考えるための材料を提示してくれる感じです。
最終的な判断は、自分自身で行います。
- 文章の言い回しに迷ったとき
- 考えを整理したいとき
- 一般的な知識を確認したいとき
こうした場面で、作業を手伝ってくれます。
「生成AI」と「AI搭載会計ソフト」の違い

AIもいろんなタイプがありますが、初心者が混乱しないために、まずは身近なAI2つの違いをはっきりさせておきましょう。
生成AI
生成AIとは、質問や指示に対して文章で答えてくれるAIのことです。
ChatGPTやClaudeなどが代表例です。
自分から「教えて」と話しかけることで、初めて動き出す仕組みになっています。
待っていても何もしてくれません。
例えば「経費精算の書き方を教えて」と入力すると、一般的な説明を返してくれます。
会話のように使えるのが特徴です。
普段使っている会計ソフトとは別に、単体のサービスとして存在しています。
無料で試せるものも多く、気軽に始められる点もいいですね。
| ツール | 特徴 | 得意分野 | 苦手分野 | 無料プラン |
|---|---|---|---|---|
| ChatGPT | 幅広い用途に対応する汎用型のAI | 画像生成、アイデア出し、幅広い会話 | 長い資料をまとめて読み込むのはやや苦手な場合がある | あり |
| Claude | 文章の正確さ・読みやすさを重視したAI | 長文の読解・要約、ビジネス文書の作成 | 画像生成など、文章以外の作業は少ない | あり |
※機能や無料プランの内容は更新されることが多いため、実際に使う前に公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。
AI搭載会計ソフト
一方、AI搭載会計ソフトは、普段使っている会計ソフトの中に組み込まれた機能です。
データを入力したり取り込んだりすると、自動で処理を進めてくれる仕組みになっています。
自分から質問する必要はありません。
例えば銀行明細を取り込むと、過去のパターンから仕訳の候補を自動提案してくれます。
使えば使うほど、自社のパターンを学習していくのが特徴です。
生成AIのように会話はできませんが、日々の定型作業を黙々とこなしてくれます。
何が違う?できること・使い方の比較
言葉で説明すると似ているようですが、役割はまったく異なります。
表で整理してみました。
| ツール | 使う場面 | 得意なこと | 使い勝手のイメージ |
|---|---|---|---|
| 生成AI | 自分から質問・相談したいとき | 調べもの、文章作成、考えの整理 | 聞けば答えてくれる |
| AI搭載会計ソフト | データを入力・取り込んだとき | 仕訳の自動提案、明細の自動処理 | 黙々と作業してくれる |
「相談するツール」と「決まった作業をするツール」。
この違いを押さえていれば、混乱しないでしょう。
結局どっちを使えばいい?
どちらか一つを選ぶというよりも、上手く使い分けるのがいいでしょう。
普段の定型業務はAI搭載会計ソフトに任せて、文章作成や調べものは生成AIに頼る。
こうした使い分けが現実的です。
例えば、仕訳の自動提案はソフトに任せつつ、この処理の考え方で合っているかどうかは生成AIに聞いてみる、というイメージ。
どちらも経理担当者の代わりではなく、経理担当者を助けるツールです。
経理担当者の目線で、場面に応じて、上手に使い分けていきましょう。
経理業務での生成AIとエクセルの違い

エクセルがあれば十分ではと感じる人もいるはずです。
役割の違いを整理すると、使い分けが見えてきます。
エクセルは定型業務
エクセルは、決まった計算やルールに沿って処理をする作業が得意なツールです。
関数や数式を一度組んでおけば、同じ計算を何度でも正確に繰り返してくれます。
ルールが決まっている作業ほど便利です。
例えば次のような処理
- 経費の合計を出す
- 決まった数式で消費税を計算する
数字が変わっても、仕組みさえ作れば自動で計算し直してくれます。
ただし、関数の組み方自体を考えるのは苦手です。
新しい計算方法を一から作るときは、人が仕組みを設計する必要があります。
生成AIは作業のサポートが得意
一方、生成AIは「考える」部分や「文章にする」部分のサポートが得意です。
決まった数式を覚えているわけではありませんが、どう組み立てればいいかを一緒に考えてくれます。
例えば「この集計をしたいけれど、どんな関数を使えばいいか」と聞くと、候補を教えてくれます。
関数の意味も、あわせて説明してくれるので安心です。
- 関数の組み方を相談したいとき
- 数式の意味を確認したいとき
- 計算結果を文章で説明したいとき
エクセルが計算を実行するツールなら、生成AIは計算の考え方を相談するツール。
この違いを押さえておくと、使い分けがしやすくなります。
経理業務で生成AIが役立つ場面

ここからは、経理の現場で実際によく使われている場面を具体的に紹介します。
日々の業務でイメージしやすい内容ばかりです。
請求書・領収書の内容をまとめる
たまった請求書や領収書を、あとでまとめて確認する作業は地味に時間がかかります。
内容を一枚ずつ読み直すのは、思った以上に集中力を使う作業です。
そのため内容を整理する手間を減らしたい、と感じている経理担当者は多いはずです。
例えば、複数の請求書の内容をテキストで入力し「金額と日付を一覧にして」と頼むと、整理して返してくれます。
手作業で書き写す手間が減ります。
もちろん、最終的な確認は担当者自身の目で行う必要があります。
それでも、下準備の時間を短縮できるのは大きな助けになります。
仕訳の勘定科目に迷ったときの相談先
経理を始めたばかりの頃、勘定科目の判断で手が止まることはよくあります。
これは消耗品費?それとも雑費?
初歩的な疑問や細かい判断ほど、周りに聞きにくいものです。
そんなとき、生成AIに「この支出は一般的にどの勘定科目を使うことが多いか」と聞いてみます。
一般的な考え方を教えてくれるので、判断のヒントや先輩に質問する前の頭の整理にもなります。
ただし、会社ごとにルールが違う場合もあるので、最終判断は、社内のルールや先輩への確認を優先しましょう。
経費精算の申請内容チェック
経費精算のチェックは、細かい確認作業が多く、地味に神経を使います。
領収書の内容と申請書の内容が一致しているか、一つずつ目で追う必要があるので、件数が多いと、見落としも起きやすくなります。
例えば申請内容をテキストでまとめ「不備がないか確認して」と頼んでみましょう。
すると気づきにくい点を指摘してくれることがあります。
とはいえ、最終的な承認判断は担当者自身が行う必要があります。
あくまで確認作業を助けてくれる存在として活用しましょう。
エクセルの関数・表作成の補助
エクセルで表を作るとき、関数が思い出せないことがあります。
「この集計をしたいけれど、どの関数を使えばいいかわからない」という悩みは、経理初心者によくあります。
そんな時は、生成AIに「月ごとの合計を出す関数を教えて」と聞いてみましょう。
具体的な関数と使い方はもちろん、関数の意味も、あわせて説明してくれます。
- 関数の組み方がわからないとき
- エラーの原因を知りたいとき
- 表の見せ方を工夫したいとき
こうした場面でとても助かります。
メール・報告書の文面作成
経理の仕事では、社内外への連絡や報告書の作成もあります。
言いたいことを文章にするのが苦手だったり、丁寧な言い回しに気を遣ったりすると、文章作成に時間がかかってしまいます。
例えば「支払い遅延のお詫びメールを、丁寧な言葉で作って」と頼んでみます。
するとお詫びメールのたたき台を作ってくれます。
文章を作成するのに、すでにたたき台があるというのは、その後の作業がとても楽になります。
後は内容を確認しながら自分の言葉に調整して送信します。
一から考えるよりずっと楽です。
マニュアル・手順書の作成
新しい業務のマニュアルや手順書を作る作業も、意外と手間がかかります。
頭の中では手順がわかっていても、文章として整理するのに時間がかかることがあるからです。
説明の順番を考えるのは大事ですね。
例えば、業務の流れを箇条書きで伝え「読みやすいマニュアルの形式に整えて」と頼んでみると、構成を整理してくれます。
ゼロから書くよりも、進めやすくなります。
- 手順の抜け漏れがないか確認したいとき
- 説明の順番を整理したいとき
- 誰が読んでもわかる表現にしたいとき
こうした場面でも、頼りになります。
生成AIを使う際の注意点
ここまで聞くと便利な生成AIですが、使い方を間違えると思わぬトラブルにつながります。
ここでは気をつけたいポイントを4つ紹介します。
会社の数字や取引先情報をそのまま生成AIに入力しない
生成AIを使うとき、まず気をつけたいのが「何を入力するか」です。
便利だからといって、実際の売上金額や取引先の名前をそのまま入力するのは危険です。
なぜなら情報が外部に漏れるリスクがあるためです。
例えば、「取引先への支払いが遅れている場合の文面を考えて」のように、内容をぼかして質問します。
- 会社名や取引先名
- 具体的な金額
- 個人が特定できる情報
これらは伏せた上で活用するのが基本です。
会社によっては入力ルールが定められている場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
社内限定や課内限定の生成AI導入の場合、情報が漏れるリスクは下がります。とはいえそれでも、あまり詳細な情報を入力するのは抵抗ありますね。
生成AIの回答をそのまま信じない(間違うこともある)
生成AIの回答は、いつも正しいとは限りません。
自信満々な口調で答えてくれるため、つい信じてしまいそうになります。
しかし、実際には事実と違う内容が混ざることもあります。
例えば、勘定科目の一般的な考え方を聞いたときも、会社ごとのルールとは異なる答えが返ってくる場合があります。
あくまで「参考意見の一つ」として受け止めましょう。
特に会計基準や税制など、最新情報が求められる内容は要注意です。
必ず社内のルールや、税制であれば国税庁で情報を確認する習慣をつけましょう。
AI搭載会計ソフトも100%正確ではない
自動で仕訳を提案してくれるAI搭載の会計ソフトも、万能ではありません。
過去のデータをもとに提案してくれる仕組みですが、イレギュラーな取引には対応しきれないこともあります。
例えば、いつもと違う種類の支払いや、初めて取引する相手の処理では、提案された仕訳が実態と合わないケースもあります。
自動提案はあくまで「たたき台」として捉えるのが安全です。
提案された内容をそのまま確定させず、経理担当者が内容を判断するようにしましょう。
最終チェックは人(自分)がやる
ここまで紹介してきた注意点には、共通する考え方があります。
生成AIもAI搭載会計ソフトも、あくまで「サポート役」だという点です。
最終的な責任は、担当者自身が持つ必要があります。
AIが作成した文章や提案された仕訳も、送信・確定する前には必ず自分の目で見直します。
- 数字に間違いがないか
- 会社のルールに沿っているか
- 送る相手として失礼がないか
こうした最終確認を怠らないことが、AIと上手に付き合う一番の方法です。
経理初心者でもできる生成AIの始め方

「使ってみたいけれど、何から始めればいいかわからない」という人向けに、始め方を2つのステップで紹介します。
まずは無料で使えるツールから試す
いきなり有料のサービスを契約する必要はありません。
多くの生成AIには、無料で使えるプランが用意されています。
費用をかけずに試せるので、個人で慣れる練習にもいいですよ。
例えば、無料版のChatGPTなどに登録し、簡単な質問を投げかけてみるところから始めてみましょう。
会話をするような感覚で使えます。
ChatGPT(無料版)
- 難しい設定は基本的に不要
- スマホからでも試せる場合が多い
- 気に入らなければやめても問題ない
まずは「触ってみる」ことを目的に、気軽な気持ちで始めてみてください。
調べもの・文章作成から試す
始めてすぐに、複雑な業務で使おうとする必要はありません。
まずは簡単な調べものや文章作成から試してみましょう。
例えば、
- エクセルの関数を思い出せないときに質問してみる。
- メールの文面を考えてもらう。
社内のルールを守りつつ、この程度の使い方であれば問題はないでしょう。
失敗しても大きな影響が出にくい場面を選ぶことで、安心して操作に慣れていけます。
少しずつ「こんなときにも使えるかも」という感覚が身についていきます。
AI導入後の経理業務を上手くこなすコツ
最後にAIを使いこなす上で意識しておきたい考え方を3つ紹介します。
生成AIがあっても「経理の基礎知識」は必要
「AIがあれば、経理の知識がなくても何とかなる」と思うのは、あまり現実に合っていません。
何度も言いますが、AIの回答が常に正しいとは限らないからです。
そのためAIの答えが正しいかどうかを判断するには、最低限の経理の知識が必要です。
例えば「この勘定科目で合っているか」を確認するにも、そもそも勘定科目の基本を知らなければ、AIの回答が正しいのか判断できません。
AIは、知識をゼロからカバーしてくれる存在ではなく、すでにある知識を活かすためのツールです。
基礎を軽視しないことが、結果的にAIを使いこなす近道になります。
経理初心者が身に着けるべきスキルは、こちらの記事「経理初心者に必要なスキルレベル3つ|継続可能な勉強方法も紹介」を読んでみてください。
簿記の勉強とAI経理は両方やってちょうど良い
AIを使うなら、簿記の勉強は不要でしょうか。
実際はその逆です。
簿記の知識とAIの活用は、どちらも欠けると困る、車の両輪のような関係です。
この組み合わせは、簿記の勉強で仕訳の考え方を身につけつつ、日々の作業では生成AIに調べものを手伝ってもらうというイメージ。
- 簿記の知識:判断の土台になる
- AIの活用:作業の負担を減らす
どちらか一方に偏ることなく、両方を並行して身につけていくくらいがちょうど良いバランスです。
AI導入後の経理については、こちらの記事「AI導入で経理業務は変わる?経理初心者が対応すべきポイントも解説」も読んでみてください。
AIに任せる部分・自分でやる部分を明確にする
またAIを使いこなす上で、最後に大切なのが線引きです。
なんでもAIに任せようとすると、かえって不安が増えたり、確認の手間が増えたりします。
任せる範囲を決めておくことが、安心して使うコツです。
例えば、文章の下書きや調べものはAIに任せる。
一方で、最終的な数字の確認や承認判断は自分で行うなど。
任せる部分と自分でやる部分をあらかじめ決めておくことで、AIに振り回されることなく、落ち着いて業務を進められるようになります。
まとめ:生成AIは経理担当をサポートしてくれるツール
生成AIは、経理の仕事を「代わりにやってくれる」ではなく、仕事を補助してくれるツールです。
定型業務はAI搭載会計ソフトに任せ、調べものや文章作成は生成AIに頼る。
そんな使い分けが、経理初心者にとって無理のない付き合い方です。
もちろん「回答をそのまま信じない」「最終チェックは自分で行う」という基本は忘れずに。
まずは無料ツールから、気軽に触れてみましょう。
以上ここまで読んでいただきありがとうございました。