この記事で解決できること
- 経理が忙しくなる原因が知りたい
- 残業解消に経理初心者ができる具体的な工夫はあるのか
- どうしても改善しない時はどうすればいい
こんな悩みを解決します。
日商簿記3級、経理・契約5年、給与・社保5年のよんちゃわんが説明いたします。
毎日残業続きで疲弊している経理初心者も多いのではないでしょうか。
仕訳や請求書処理に追われ、気づけば定時で帰れる日がない。
そんな状況に、不安や焦りを抱えている人もいるはずです。
でも、その忙しさには必ず理由があります。
原因が分かれば、対処の仕方も見えてきます。
なぜなら私が毎日が残業の状態から抜け出せたのも、原因を整理できたからです。
この記事の前半では「経理が忙しすぎる理由について」、後半では「忙しさを解消する方法」について解説します。
経理が忙しいのは当たり前?

「経理は忙しくて当然」と思われがちですが、実は会社や個人によって経理の印象はさまざまです。
まずは以下の3つの視点で見ていきます。
会社による
経理の忙しさは、会社の規模や体制によって違います。
たとえば従業員数が多い会社ほど、伝票や仕訳の数も増えるのは簡単に想像できます。
また会計ソフトを導入していない会社では、手作業での入力が中心になりがちです。
会計ソフトを使っていれば、同じ業務の負担も減らせるはずですが。
つまり「経理=忙しい」のではなく、「体制が整っていない会社=忙しい」と言えるケースがあるわけです。
今の忙しさが会社側の課題である可能性も、頭の片隅に置いておきましょう。
人による
同じ会社の経理部でも、忙しさの感じ方には個人差があります。
なぜなら業務の進め方やスキルによって、作業時間が変わってくるからです。
たとえばエクセルの操作に慣れている人と、そうでない人では、同じ集計作業でも数十分の差が出ることもあります。
さらに、業務の優先順位をつけるのが得意な人は、締切前でも慌てずに仕事を進められます。
つまり経理の忙しさは、「センス」や「工夫」次第で変えられる部分もあるということです。
私の実体験
私自身も経理に入った当初は、経理がこんなに大変だとは思っていませんでした。
業務は複数ありましたが、日々の仕訳入力だけで精一杯になり、目の前に積みあがる伝票の多さにおびえていました。
月次に間に合わせるために、私だけ毎日残業していたのを覚えています。
業務にも慣れてきたのに、一向に残業が無くならないのは、業務分担に問題があるのではとにらんでいました。
そして経理スタートから10か月かけて、以下の環境変化を実現させました。
- 経験者に、未経験者の業務量が適切でないことを認識してもらう
- 既存エクセルフォーマット修正で使い勝手を良くする
- 担当業務の見直し
ずっと経理にいる経理課員に初心者が直面している問題を理解してもらうのは難しかったです。
実際に経理では会計システム導入済み、その他自動化も実施済みという認識があったためです。
それでも人力に頼る部分はバッチリ残っていますからね。
仕事の環境が改善されたので、簿記の勉強など始める余裕がでてきました。
経理が忙しすぎると感じる場面

「経理が忙しい」と一言で言っても、実際には様々な場面が積み重なっています。
ここでは具体的にどんな瞬間に忙しさを感じやすいのか5つ紹介します。
業務範囲が広い
経理の仕事は、想像している以上にカバーする範囲が広いのが特徴です。
日々の仕訳入力だけでなく、請求書発行や経費精算、給与計算まで担当することもあります。
ちなみに以下は、経理初心者が任されやすい業務の一例です。
| 業務名 | 内容 |
| 仕訳入力 | 日々の取引を会計ソフトに記録する |
| 請求書発行 | 取引先へ送付する請求書を作成し、内容に誤りがないか確認する |
| 経費精算 | 社員が立て替えた交通費や消耗品費などの申請を確認し、支払い処理を行う |
| 入出金管理 | 銀行口座の入金・出金を確認し、帳簿の記録と一致しているかチェックする |
| 伝票整理・ファイリング | 領収書や請求書などを整理・保管する作業 |
| 電話・来客対応 | 取引先からの問い合わせ対応や、来客時の窓口業務 |
一つひとつの業務は難しくなくても、種類が多いことで「なかなか終わらない」という感覚につながります。
月次決算・年次決算に業務が集中する
経理は忙しい時期が定期的に襲ってきます。
特に月末の月次決算と、年に一度の年次決算は業務が一気に増える時期です。
月次決算では、その月の売上や経費を締めて試算表(会社の収支をまとめた一覧表)を作成します。
年次決算では、これに加えて棚卸や決算整理仕訳が発生します。

このように経理は忙しさには「波」があるため、心の準備は必要です。
担当者に負担が偏りやすい
経理業務は、特定の担当者に仕事が集中しやすい特徴があります。
いわゆる「属人化」と呼ばれる状態。
たとえば「この処理はAさんしか分からない」という状況になると、Aさんが休むだけで業務全体が止まってしまいます。
結果として、Aさんの負担は増え、他の人が代行できない状態が作られてしまいます。
- 担当業務が特定の人に偏っていないか
- マニュアルが整備されているか
この2点を意識するだけでも、負担の偏りに気づくきっかけになります。
法改正への対応が負担
経理の忙しさを増やす要因として、制度変更への対応もその一つです。
インボイス制度や電子帳簿保存法といった、実務に直結する改正が続いています。
| 項目 | 開始時期 | 目的 | 対象 |
| インボイス制度 | 2023年 | 消費税の仕入税額控除を受けるための請求書ルール | 請求書(仕入税額控除の適用) |
| 電子帳簿保存法 | 2022年 (2024年~完全義務化) | 帳簿や領収書をデータで保存する際のルール | 帳簿・領収書などのデータ保存 |
どちらもややこしく感じやすい制度ですが、通常業務と並行して対応する必要があります。
つまり新しいルールが出るたびに、覚え直す負担が積み重なっていくわけです。
一人当たりの業務量が多い
多くの会社で、経理は慢性的な人手不足と言われています。
限られた人数で幅広い業務をこなす必要があるためです。
たとえば本来なら3人で分担すべき業務を、2人で回している会社も少なくありません。
一人当たりの業務量が増えれば、当然忙しくなるということ。
こうした状況は、個人の努力だけではどうにもならないケースと言えます。
経理担当者が陥りやすいリスク
忙しさが続くと、経理業務にはいくつかのリスクが発生しやすくなります。
ここでは経理初心者によくある3つのリスクを解説します。
仕訳ミス・記帳漏れなど
忙しさが続くと、仕訳ミスや記帳漏れが起こりやすくなります。
仕訳とは、取引の内容を「借方」「貸方」に分けて記録する作業のことです。
たとえば入力を急ぐあまり、勘定科目を間違えたり、金額を打ち間違えたりなど。
一つのミスが試算表全体の数字のズレにつながる可能性もあります。
- 取引の入力漏れ
- 勘定科目の選び間違い
- 金額の桁ミス
こうした小さなミスも、決算時にまとめて発覚すると修正に大きな手間がかかります。
残業の常態化
業務量が多い状態が続くと、残業が当たり前になってしまうことも少なくありません。
たとえば毎月同じように締め作業に追われていると、「どうせ今月も残業だろうな」と諦めムードが漂ってしまうことがあります。
この状態が長く続くと、身体的疲労はもちろんのこと、メンタル面への影響が心配です。
残業が常態化する背景には、業務の属人化や非効率なフローが隠れていることも多いです。
忙しい時はあっても、「忙しいのが普通」ではないので、一旦業務の流れそのものを見直してみる必要があります。
経理の仕事に苦手意識をもってしまう
忙しさに追われる日々が続くと、経理初心者は経理の仕事そのものに苦手意識を持ってしまうことがあります。
たとえば分からないまま作業を進め、ミスを指摘される経験が重なると、「自分には向いていないかも」と感じやすくなります。
忙しさと自信の低下は、意外と密接につながっています。
実はこれは、経理という仕事の適性の問題ではなく、余裕のなさが引き起こしているケースがほとんどです。
基礎知識を身につけ、業務の全体像が見えてくれば、苦手意識は少しずつ和らいでいきます。
経理の知識が少しずつついてくると、楽に取り組めるようになりました。
経理初心者もできる個人の工夫

忙しい状態を改善するには、自分でできる工夫もあります。
ここでは経理初心者でも今日から始められる5つの方法を紹介します。
経理の年間スケジュールを頭に入れる
経理の忙しさを乗り越える第一歩は、年間スケジュールを把握することです。
いつ忙しくなるかが分かれば、事前に準備ができます。
- 毎月の締め日
- 決算月とその前後
- 年末調整や税務申告の時期
これらをカレンダーに書き込んでおくだけでも、心の余裕が変わってきます。
見通しが立てば、忙しさへの不安も軽くなるはずです。
定型業務のテンプレート化・マニュアル化
毎回同じ作業に時間がかかっているなら、テンプレート化・マニュアル化しましょう。
一度仕組みを作れば、次からの作業時間を大きく短縮できます。
たとえば毎月作成する報告書のフォーマットを固定しておけば、数字を入れ替えるだけで完成します。
メールの文面もよく使うものはひな形を用意しておくと便利です。
さらに、自分の業務手順をマニュアルとしてまとめておけば、自分が不在の時も誰かが代わりにやってくれます。
誰かに引き継ぐ際もスムーズになり、結果的に自分の負担も軽くなっていきます。
マニュアル作成は、業務を整理する過程で理解がより深まります。
エクセルのスキルアップ
経理業務では、エクセルのスキルがあると作業効率が良くなります。
同じ集計作業でも、使う機能次第で時間は何倍も変わってきます。
たとえばショートカットキーやSUM関数、VLOOKUP関数(条件に合うデータを探して呼び出す機能)を使いこなせると、手作業での確認が大幅に減ります。
- ショートカットキーを覚える
- 基本的な関数を使えるようにする
- 入力ミスを防ぐチェック機能を活用する
こうした小さな積み重ねが、日々の業務時間の短縮につながっていきます。
優先順位をつけて片付ける
忙しい時期こそ、優先順位をつけて業務を進めることが大事です。
ながら作業は、かえって処理が遅れてしまいます。
たとえば締切が近い作業と、まだ余裕がある作業を混同すると、緊急度の高い仕事が後回しになりがちです。
優先順位をつけるポイント
- 締切が近いものから着手する
- 他の人の作業に影響するものを優先する
- 時間がかかる作業は早めに手をつける
このように整理するだけで、同じ業務量でも体感の忙しさは変わります。
一度気持ちを落ち着けて、片づける順番を決めることを意識してみてください。
わからないことは先輩・上司に聞く
経理初心者のうちは、わからないことを一人で抱え込まないことがポイントです。
なぜなら自己判断で進めてしまうと、あとで大きな修正が必要になることもあるからです。
たとえば勘定科目の分類に迷ったまま入力を続けて、決算時にまとめて訂正が必要になった場合、あの時相談していればよかったと後悔することになります。
先輩や上司に質問するのは当たり前のこと。
決して恥ずかしいことではありません。
普段から分からないことをすぐに聞ける関係性を作っておきましょう。
業務効率化に積極的な姿勢を示す

個人の工夫だけでなく、組織で効率化に取り組む姿勢も必要です。
気が付いたことは提案してみましょう。
積極的な姿勢は、組織のコミュニケーションを良くし、働きやすい環境を作れます。
ここでは組織として意識したいポイント3つを紹介します。
属人化させない
業務効率化の第一歩は、「特定の担当者しか分からない」状態をなくすことです。
いわゆる属人化は、忙しさの原因のひとつにもなります。
たとえば特定の担当者しか対応できない業務があると、その人が休んだ日は業務が止まってしまいます。
- 業務フローを見直し、手順を整理する
- チェック体制を作り、複数人で確認できるようにする
- 誰でもできる作業に落とし込み、担当を分散させる
こうした仕組みを整えると、特定の人への負担集中を防ぎやすくなります。
属人化につい詳しくはこちらの記事「【初心者向け】経理の属人化がダメな理由と解消する方法を解説」を読んでみてください。
自動化させる
業務効率化を進めるうえで、自動化ツールの活用は大きな効果を発揮します。
手作業に頼っていた部分を機械に任せることで、時間の余裕が生まれます。
たとえば会計ソフトを使えば、銀行口座の入出金データを自動で取り込み、仕訳の候補まで提案してくれます。
近年では、生成AI(文章や提案を自動で作り出すAI技術)を使って定型メールを作成する会社も増えてきました。
自動化ツール活用例
- 会計ソフトによる仕訳の自動化
- 経費精算システムでの申請・承認の効率化
- 生成AIを使った文書作成のサポート
手作業を減らす選択肢は、以前よりも増えています。
まずは自社で使えそうなツール選びから始めてみては。
外注に出す
すべての業務を社内で抱え込まず、外注という選択肢を検討することも効率化の一つです。
たとえば記帳代行サービスを利用すれば、日々の仕訳入力を外部に委託できます。
給与計算や年末調整のみを外注している会社もあります。
外注例
- 記帳代行や経理代行サービスの活用
- 給与計算・年末調整業務の一部委託
- 繁忙期のみスポットで依頼する方法
外注は、慢性的な人手不足を補う手段としても有効です。
社外の力を借りる発想も選択肢のひとつ。
それでも経理が忙しすぎたら検討すること
工夫を重ねても忙しさが解消されない場合は、環境そのものを見直すタイミングかもしれません。
ここでは2つの選択肢を紹介します。
部署異動や業務分担の相談をしてみる
忙しさが限界に近いと感じたら、上司への相談を検討してみましょう。
一人で抱え込み続けると、心身への負担がさらに大きくなってしまいます。
相談のステップ
- 担当業務の一覧を書き出して見せる
- 特に負担が大きい業務を明確にする
- 分担の見直しや異動の可能性を尋ねてみる
まずは上司に相談してみましょう。
そうすることで、経理課内で問題を共有してもらえます。解決の第一歩。
私は「業務量が明らかに多い」と感じていたので、実際の業務量やかかっている時間を示して上司に相談しました。感覚だけでなく、数字で示すのは説得力があります。
会社の体制が問題なら転職する
相談しても状況が変わらない場合は、転職という選択肢も視野に入れてみましょう。
会社の体制そのものに問題があるケースでは、個人の努力だけでは限界があります。
たとえば人手不足が慢性的で改善の見込みがない、会計ソフトの導入すら検討されないといった場合です。
こうした環境では、いくらスキルを磨いても忙しさが解消されそうにありません。
- 会計ソフトなど効率化ツールの導入状況を確認する
- 人員体制に改善の動きがあるかを見る
- 自分の頑張りが正当に評価される環境かを見極める
環境を変えることも立派な解決策です。無理を続ける前に、選択肢の一つとして頭に入れておいてもいいのでは。
経理を辞めたい理由については、こちらの記事「初心者が経理を辞めたい理由8つと辞める前に確認すべき事を解説」も読んでみてください。
まとめ:忙しすぎる原因を知れば経理は継続できる
経理の忙しさは「会社の体制」と「個人の工夫」の両方が影響しています。
業務範囲の広さやスケジュール通り到来する繁忙期、属人化など、原因を知るだけでも気持ちは軽くなるはずです。
以下を意識して取り組みましょう。
- 年間スケジュールを把握し、心の準備をしておく
- テンプレート化やエクセルスキルで日々の負担を減らす
- 一人で抱え込まず、先輩・上司に相談する
それでも改善しない場合は、異動や転職の選択肢もあり得ます。
「経理=忙しい」と諦める前に、できることから少しずつ試してみてください。
以上ここまで読んでいただきありがとうございました。