この記事で解決できること
- 個人事業主の経理業務の流れが知りたい。
- 経理をラクにするための準備やコツはある?
- 青色申告やインボイス対応などは必要か知りたい。
こんな悩みを解決します。
日商簿記3級、経理・契約5年、給与・社保5年のよんちゃわんが説明いたします。
「個人事業主の経理は、特殊なことやってる」なんてことはありません。
会社の経理も個人事業主の経理も、やることは同じです。
経理は、正しい順番とコツさえ押さえれば、初心者でもできる。
記事の前半では「個人事業主の経理の手順」について、後半では「経理を上手くこなすポイント」について解説します。
個人事業主が経理でやること

個人事業主が経理でやることを、「お金の記録」と「準備」の大きく2つに分けて説明します。
まずは全体像をザックリつかんでいきましょう。
お金の流れを記録する
経理の基本は、お金の出入りを記録することです。
売上や仕入れ、経費など、事業に関わるお金の動きをすべて帳簿につけていきます。
帳簿とは、日々の取引(お金の流れ)を記録するノートのこと。管理方法は、紙の帳簿ノートだったり、エクセル表や会計ソフトだったりします。
この記録があることで、事業の利益がいくらなのか正確に把握できます。
たとえば家計簿をイメージすると分かりやすいかもしれません。
何にいくら使ったかを記録するのと同じ感覚で、事業のお金も記録していきます。
ただし、毎日完璧にやる必要はなく、定期的にやれば大丈夫。
大切なのは、記録を溜めすぎずにコツコツ続けることです。
経理の準備をする
経理をスムーズに始めるには、事前の準備が必要です。
まず用意したいもの
| 用意するもの | 理由 |
|---|---|
| 業務用の銀行口座 | プライベートのお金と事業のお金が混ざってしまうと、後から仕訳をする際に面倒です。 |
| 業務用のクレジットカード | 経費の支払いを業務用カードに一本化しておけば、明細を見るだけで経費の把握ができて安心です。 |
こうした環境を開業時点に整えておくことは大事で、日々の経理作業がぐっとラクになります。
経理業務の流れ

経理業務は、日々・月次・年末・確定申告までにやることが異なります。
それぞれのタイミングでやるべきことを見ていきましょう。
日々やること
日々の経理でやることは、シンプルです。
売上や経費が発生したら、その都度レシートや領収書を保管しておきます。
この時点で完璧に仕訳をする必要はありません。
たとえば、財布にレシート用のポケットを作っておくだけでも十分です。
とりあえず「捨てない」ことを意識すれば、後でまとめて処理ができるから。
日々やることのポイントまとめ
- レシートや領収書をその場で保管する
- 業務用口座・カードの利用明細を都度確認する
- 大きな入出金があった日はメモを残しておく
この小さな積み重ねを習慣づけると、月末の作業が楽になります。
月1回やること(月次)
月1回のタイミングでは、その月の記録をまとめて整理します。
具体的には、溜めておいたレシートや領収書をもとに、帳簿へ仕訳を入力していく作業です。
会計ソフトを使えば、銀行口座やカードの明細を自動で取り込める場合もあります。
月末や月初など、自分の中で「経理の日」を決めておくのはどうでしょう。
曜日を固定しておけば、作業を忘れにくくなりますよ。
月1回チェックしたい項目まとめ
- その月の売上・経費の記帳
- 領収書と帳簿の金額が一致しているか
- 未払い・未回収のお金がないか
こうして月ごとに区切ることで、年末の作業量を減らせるんです。
年末やること
年末は、1年分の帳簿を確定させる大事なタイミングです。
12月分までの記帳を終わらせたうえで、1年間の売上や経費に漏れがないかを確認します。
この時、在庫がある場合は棚卸しも必要です。
たとえば、12月に購入した消耗品が年をまたいで1月に届いたら、経費計上は1月になります。
年末にやることまとめ
- 1年分の記帳がすべて完了しているか
- 経費の計上漏れがないか
- 在庫がある場合は棚卸しをしたか
ここまで整えておくと、確定申告の準備がスムーズに進みます。
確定申告までにやること
確定申告までにやることは、1年間の帳簿を最終チェックし、書類を仕上げる作業です。
具体的には、決算書や確定申告書の作成に取りかかります。
青色申告の場合は、貸借対照表や損益計算書も必要になるため、早めに準備すると安心です。
期限ギリギリになると焦って計算ミスをしやすくなるので、以下のスピード感で進めるのが良いでしょう。
- 1月中:帳簿を締める
- 2月:書類作成開始
確定申告までにやることまとめ
- 1年分の帳簿の最終確認
- 決算書・確定申告書の作成
- 控除証明書など必要書類の準備
計画的に進めることで、確定申告シーズンも落ち着いて対応できます。
経理業務を上手くこなすポイント

ところで経理業務を無理なく続けるには、いくつかのコツがあります。
ここでは3つのポイントを紹介します。
レシートや領収書の保管場所を決める
経理業務をラクにするには、レシートや領収書の保管場所を決めることです。
なぜなら保管場所が決まっていないと、レシートが財布やカバンの中でバラバラになり、いざ記帳しようとしたときに探す手間がかかるからです。
これでは経理作業そのものが億劫になってしまいます。
たとえば、月ごとに封筒やクリアファイルを分けておく方法があります。
もらったその場で「今月の封筒」に入れる習慣をつけるだけ。
月末に封筒の中身を整理するだけです。
保管場所を決めるポイント
- 財布からすぐに取り出せる定位置を作る
- 月別・週別など、区切りを決めて分類する
- 紙とデータ(オンライン購入分など)を分けて保管する
続けやすさが大事なので、そのためのルール設定がコツです。
会計ソフトを使う
経理初心者ほど、会計ソフトの活用が助けになります。
会計ソフトのいいところ
- 銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込んでくれる。
- 仕訳の候補まで提案してくれる
- 簿記の知識がなくても、帳簿管理ができる。
たとえば、手書きの家計簿とスマホの家計簿アプリの違いです。アプリなら計算ミスもなく、集計も自動。会計ソフトも同様。
会計ソフトを選ぶ際のポイント
- 銀行口座・カードとの自動連携ができるか
- 確定申告書の作成まで対応しているか
- サポート体制が整っているか
初めは取引が少ないので、エクセルで帳簿管理をしてもいいですよ。エクセル帳簿の無料テンプレートたくさんWeb上に公開されています。
そのうち事業が上手くいって、だんだん取引が増えてきた時点で会計ソフト導入を考えるのもありです。
日々の入力作業を効率化することが、経理を続けるコツです。
青色申告する
個人事業主の経理では、確定申告は青色申告でするという選択肢があります。
一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする方については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告の制度があります。
引用元:国税庁「No.2070 青色申告制度」
つまり、複式簿記という形式で帳簿をつける代わりに、税金の面で優遇が受けられる申告方法です。
最大65万円の所得控除など、税負担を軽くできる可能性があります。
詳しい帳簿をつけて、節税効果を最大限にするのが目的。他に白色申告があるが、これは単式簿記で簡易な帳簿をつける代わりに、節税効果は小さい。
複式簿記と聞くと難しく感じるかもしれませんが、会計ソフトを使えば自動で計算してくれる部分がほとんどです。
入力する項目に沿って情報を入れていけば、複雑な計算を自分でする必要はありません。
青色申告のメリット
- 最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
- 赤字を3年間繰り越せる
- 家族への給与を経費にできる(青色事業専従者給与)
申告方法は事前の届出が必要なので、早めに検討しておくと安心です。
確定申告の方法については、こちらの記事「初めてでもOK!個人事業主が自分で経理業務をこなす方法を解説」も読んでみてください。
経理業務をするために必要なスキル

経理業務には、あると役立つスキルがいくつかあります。
ここでは3つのスキルを紹介します。
簿記
経理業務に役立つスキルとして挙げられるのが、簿記の知識です。
簿記とは、お金の動きを一定のルールに沿って記録するための知識です。
簿記の基本が分かると、帳簿の意味を理解しながら経理を進められます。
ただし、個人事業主の経理をするうえで、簿記資格は必須ではありません。
というのは会計ソフトを使う人が増えているからです。
会計ソフトが自動で仕訳を提案してくれるため、知識ゼロからでも記帳自体は可能というわけ。
とはいえ、簿記の基礎を知っておくと役立つのは確か。
- 会計ソフトの入力内容の意味が理解できる
- 決算書を見て事業の状態を把握しやすくなる
- 税理士とのやり取りがスムーズになる
余裕があれば、簿記3級程度の知識に触れておくと安心です。
エクセル
エクセルの基本操作も、経理業務で役立つスキルのひとつです。
会計ソフトを使う場合でも、売上の集計や経費のリスト作成など、エクセルを併用する機会は多いでしょう。
SUM関数などの基本的な計算機能が使えるだけでも、作業効率は大きく変わります。
たとえば、月ごとの売上を一覧表にまとめておけば、事業の状況をパッと把握できます。
難しい関数を覚える必要はなく、簡単な入力と集計ができれば十分です。
エクセルで押さえておきたい操作は、以下の通りです。
- セルへの数値・文字の入力
- SUM関数などの基本的な計算
- 表の作成と並び替え
最低限の操作ができれば、経理業務の幅が広がります。
エクセルについては、こちらの記事「会社の経理業務でエクセルは必要?経理初心者が困らない準備も解説」も読んでみてください。
会計ソフト
会計ソフトの操作に慣れることも、大切なスキルのひとつです。
近年の会計ソフトは、画面の案内に沿って入力するだけで帳簿が完成する設計になっています。
特別な操作を覚えなくても、直感的に使えるものがほとんどです。
慣れておきたい経理ソフトの操作
- 銀行口座・カードとの連携設定
- 取引の仕訳(勘定科目の選択)
- 帳簿や決算書の出力
実際に触って慣れていくのが操作習得の近道です。
会計ソフト(経理ソフト)については、こちらの記事「【個人事業主】経理初心者が経理ソフトを迷わず選べる方法を解説」も読んでみてください。
経理処理の注意点
経理処理を進めるうえで、注意しておきたい点が2つあります。
順番に見ていきましょう。
インボイス対応
経理処理で気をつけたいのが、インボイス制度への対応です。
複数税率に対応し、事業者の方が消費税を正確に納めていただくために必要な制度がインボイス制度です。
引用元:国税庁「インボイス制度について」
つまり消費税の仕入税額控除を受けるために、決められた項目を満たした請求書(適格請求書)が必要になる制度です。
取引先が課税事業者の場合、対応の有無が影響することがあります。
たとえば、取引先から「登録番号を記載してほしい」と言われるケースも出てきます。
自分がインボイス発行事業者として登録しているかどうかで、請求書の書き方が変わります。
インボイス対応で確認しておきたいポイント
- 自分がインボイス発行事業者として登録しているか
- 請求書に登録番号・税率・税額を記載しているか
- 受け取った請求書がインボイスの要件を満たしているか
制度の詳細は変更されることもあるため、最新情報は国税庁のサイトなどで確認しましょう。
書類の保管
経理処理では、書類の保存ルールも押さえておきましょう。
レシート・領収書や請求書などの書類には、法律で定められた保存期間があります。
青色申告の場合、原則として7年間の保存が必要です。
うっかり捨ててしまうと、後で困る可能性があります。
たとえば、税務調査が入った際に「その経費の証拠がない」となると、経費として認められないこともあるので、日頃から保管する習慣をつけておきましょう。
書類保存で押さえておきたいポイント
- 原則7年間は書類を保存する(青色申告の場合)
- 紙の書類は年ごと・月ごとにファイリングする
- データで受け取った請求書は電子データのまま保存する ※参考元:電子帳簿等保存制度特設サイト
「とりあえず保管」を習慣にしておくと、後から慌てずに済みます。
レシート・領収書の保管方法については、こちらの記事「経理初心者が知りたいレシートと領収書の違いを解説|インボイスとの関係も」も読んでみてください。
まとめ:個人事業主の経理は日々コツコツでラクになる
個人事業主が経理でやることを一通り見てきました。
特別なスキルがなくても始められると感じていただけたでしょうか。
完璧でなくとも、この積み重ねがあれば、確定申告の時期に慌てることもなくなります。
また簿記の知識に自信がなくても、会計ソフトを活用すれば入力の負担はぐっと減らせますよ。
青色申告を選べば、税負担を軽くできる可能性もあります。
まずは今日から、レシートを保管する習慣づくりから始めてみましょう。
日々コツコツ続けることが、経理をラクにする一番の近道です。
以上ここまで読んでいただきありがとうございました。ラクにする一番の近道です。